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アフターコロナの施設清掃とは?

今回、ソフトバンクロボティクスが音頭をとり、「アフターコロナの施設清掃」というテーマでサイトを立ち上げることになった。世界各国の最先端事例を掲載すると同時に、専門家の先生方に科学的にこのテーマを考察してもらい、新しい施設清掃の情報を少しでも多くの人に伝えたい、というのが趣旨だ。

なぜロボット会社である我々がこのようなことを始めるのか。第一弾投稿としてその背景を説明したい。

コロナウイルスはどこにいる?

1つ興味深い調査結果がある。

武漢に突貫工事で建てた火神山病院というコロナ専門の病院がある(現在は閉鎖)。この病院内のどこにコロナウイルスが付着しているのかを明らかにした調査結果が、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)発刊の科学雑誌に掲載された。

その結果、最も汚染されているのは、患者のマスクや医療関係者の手袋でなく、空気フィルターと床だということがわかった。また、医療関係者の靴の裏にも多数のウイルスが発見された。つまり、コロナウイルスは病院の床に蓄積し、それが、医療関係者が歩いて各部屋に拡散され、空気中に舞い上がってフィルターで回収されているのではないか、という仮説が成り立つ。

これは非常に興味深いレポートのため、このテーマについて、施設清潔度の実態調査を共同で実施した熊谷組技術研究所の中村 孝道先生に、別途深掘りしたレポートをお願いしたい。

レッドゾーンでの無人清掃オペレーション

今度は施設側の状況を見てみよう。

先週、東京都の軽症者受け入れホテルでレッドゾーン、すなわちコロナ汚染エリアでロボットによる清掃が始まった。小池都知事にも記者会見で触れてもらった。

これまで、レッドゾーンには人は立ち入ることができず、汚れはそのまま放置されていた。そこを無人で清掃することで清潔度を高める。

コロナ患者を受け入れなければいけない病院も状況は同じだ。清掃業務を外部に委託できなくなるので、医療従事者が清掃をしなければいけない。ただでさえ医療崩壊が危ぶまれており、それどころではないが、院内感染を防ぐため清掃はしなければならない。

介護施設も大きな課題を抱えている。イギリスではコロナによる死亡者の3割は介護施設から出ているという。

介護施設は三密を作りやすい上、感染したら死のリスクの高い高齢者が居住している。

こうした病院や介護施設からは、「せめて床清掃はロボットに任せ、限られた人手はどうしてもやらなければいけない接触部分の殺菌に回したい」という声が多数寄せられている。まさに今、彼らと一緒に新しい清掃オペレーションを構築している。

通常施設でも病院レベルの清潔度担保へ

病院など医療に直結する施設だけではない。通常の施設でも病院レベルの施設清潔度が求められるようになった。

デルタ航空では「デルタ・クリーン」という清掃基準を作成、全てのフライトの前に機内設備に消毒液を噴霧する運用となった。

世界最大のホテルグループMarriottでも病院レベルの清掃標準を部屋清掃で導入することになった。

世界中の施設が「アフターコロナの施設清掃」はどうあるべきなのかを模索している。

日本でも専門家会議から「新しい生活様式」が提示され、ドアノブなど高頻度接触部位の消毒が示唆された。しかし、具体的に誰がどのようにオペレーションするのかは現場に任されている。店頭スタッフがやるのか、清掃会社に委託するのか。ただでさえ清掃員の有効求人倍率は3を超え、深刻な人手不足なのに、コロナでリスクをとってまで働きたいという人は減っている。にもかかわらず、清掃範囲は増加しており、どのように持続可能な運用を作るのかが、喫緊の課題である。

施設清掃のニュー・ノーマル

コロナにより施設の清潔さに対する見方はガラリと変わった。

これまでの清掃は、“人の目に見えてきれい”であればよかった。契約は「週3回床掃除をする」といった作業ベースであり、実際にきれいになるかは重要視されていなかったと思われる。

しかし、アフターコロナでは、施設の清潔さには全く異なるレベルが求められる。目に見えないところまで殺菌ができているか。そして、それが科学的に数値で証明されているか。「この施設が清潔である」と数値で証明できないと業務運営ができないし、何よりお客様が来ない。

しかもその清掃を、人を使わずにできるだけ感染リスクを最小化して実現せねばならない。まさに、施設清掃のニュー・ノーマル=新しい清掃標準構築が急務なのだ。

世界中の施設の悩み解決の一助に

この課題は世界共通のテーマだ。

マカオの隔離ホテルや、米国の介護施設、デンマークの病院でも全く同じ悩みを抱えており、今まさに一緒に清掃標準を構築している。

シンガポールでは、我々は政府からEssential Business(ロックダウン下でも運営する必要がある病院などの企業)のライセンスを取得、病院や介護施設の清掃オペレーションをサポートしている。

世界中の施設がこのテーマで悩んでいる。そして、情報を喉から手が出るほど欲している。我々のできることは、世界各国の事例をスピーディーに共有し、専門家に科学的考察をしてもらうことで、悩み解決の一助となることだ。

もちろん我々で全ての問題が解決できるわけではない。我々ができることは解決策のごく一部だ。時間が経てば、政府や公的機関から情報やガイドラインが出てくるだろう。ただ、今、目の前で問題は起きており、それまで待っていられないという施設も多いはずだ。そうした施設や清掃会社の悩みを少しでも解決をできれば、というのが本サイトの趣旨だ。

我々のミッションは「ロボット革命で人々を幸せに」。コロナの問題が少しでも早く解決し、人々の顔に笑顔が取り戻せれば幸いである。

著者プロフィール

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吉田 健一
ソフトバンクロボティクス株式会社 常務執行役員 Chief Business Officer

AI清掃ロボットWhiz事業責任者。現在、日本、米国、アジア、欧州の世界各国においてWhizによるオートメーションを展開、世界的に施設清掃の抜本的変革を推進。前職では、ソフトウェア会社リアルコムの共同創業者兼COOとして同社をマザーズ上場に導く。
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新型コロナにより施設清掃はガラリと変わり、アフターコロナ時代には全く異なるレベルで施設の清潔さが求められるのではないだろうか。世界中の施設が「清掃のニュー・ノーマル=新しい清掃標準」を模索している。「アフターコロナの施設清掃」に向け、世界の事例、専門家の科学的考察を紹介していく。